みんなの暮らし Posted. 2026.08.12

#3-006 防災は全部を同じだけ備えない。戸建て家庭が先に考えたい「地震・水害・火災」の順番


地震も気になるし、豪雨も増えているし、火災も心配。戸建てで暮らしていると、防災の不安はひとつではありません。でも、全部を同じ熱量で備えようとすると、何から手をつければいいか分からなくなりがちです。そこで今回は、公的データを手がかりに、地震・水害・火災を「わが家の優先順位」に置き換える考え方を整理します。

 

<引用元>
内閣府 『令和7年版 防災白書|第1部 第1章 第3節 3-1 地震・津波災害対策

 

 

不安は多いのに、備えは後回しになりやすい

大雨のニュースを見るたびに少し気になる。地震速報が出ると備蓄を見直そうと思う。でも、忙しい毎日の中では、その気持ちが長続きしない――。30代〜40代の家庭では、そんな防災の“先送り”が起こりやすいものです。生活者目線では、防災は「怖い話」よりも「今日の暮らしに落とし込めるか」が続くかどうかの分かれ道です。

 

 

まず確認したいのは「家そのもの」の地震リスク

国土交通省によると、2023年時点の住宅の耐震化率は約90%ですが、戸建て住宅に限ると約85%です。さらに、耐震性が不十分な住宅は約570万戸あり、その約8割にあたる約450万戸が戸建て住宅とされています。ブランドの視点で見ると、家族の安心だけでなく、住まいの資産価値を守る意味でも、耐震性の確認は防災の土台です。築年数や耐震基準を知らないまま備蓄だけ増やしても、土台の不安は残ったままです。

 

<引用元>
国土交通省 『耐震改修促進法に基づく基本方針の見直しについて

 

 

水害は「全国の話」より「自宅の場所」で決まる

水害対策で大切なのは、全国平均を眺めることより、自宅の場所にどんなリスクが重なっているかを見ることです。国のハザードマップポータルサイトでは、住所から洪水、土砂災害、津波などのリスクを重ねて確認でき、避難に使う道まで見直せます。観察の視点で言えば、防災が進む家庭は「不安を集める」のではなく、「わが家の地図に落とす」ところから始めています。水害は家族全員が同じ場所にいる夜や週末に起こるとは限らないからこそ、避難先と経路を共有しておく意味があります。

 

<引用元>
国土交通省 『ハザードマップポータルサイト

 

 

火災は“起きてから”では遅い、日常の備えが効く

消防庁によると、2024年の住宅火災による死者は1,030人でした。このうち65歳以上は779人で、75.6%を占めています。数字だけ見ると高齢世帯の課題に見えますが、子育て世帯にとっても火災は「自分ごと」です。内閣府の防災白書でも、地震に備える日頃の行動として家具固定、避難経路確認、飲料水や食料の備蓄が重要とされています。エスノグラフィー(行動観察調査)の視点では、家族が実際に動ける備えは、「もしもの時どう逃げるか」を一度でも話している家庭に生まれやすい。つまり、戸建ての防災は、①耐震性の確認、②ハザードマップで場所の確認、③火災と避難の動線確認の順で整えると、迷いにくくなります。

 

<引用元>
消防庁 『令和6年(1~12月)における火災の状況(確定値)

 

 

★ご注意ください★
※本稿の耐震化率約90%、戸建て約85%、耐震性不十分な住宅約570万戸は、全国推計です。個別の住宅が安全かどうかを直接判定する数値ではないため、実際には建築年、構造、改修履歴などの確認が必要です。
※ハザードマップは、将来の災害発生を確実に予言するものではなく、想定条件に基づくリスク情報です。本稿では「水害リスクを自宅地点で具体化する手段」として紹介しています。最終的には自治体公表の情報も併せて確認してください。
※住宅火災による死者1,030人は全国統計であり、子育て世帯だけの発生率ではありません。ただし、火災が「高齢者だけの問題」と誤解されないよう、本稿では避難動線や家具固定など、全世帯に共通する行動に引き寄せて解説しています。

 

<引用元>

  ・国土交通省 「耐震改修促進法に基づく基本方針の見直しについて
  ・消防庁 「令和6年(1月~12月)における火災の状況(確定値)
  ・国土交通省 「ハザードマップポータルサイト
  ・内閣府 「令和7年版 防災白書|地震・津波対策

 

 

次回予告

次回は、子育て・教育費と住まいのお金をどう両立するかがテーマです。
子どもの成長とともに、教育費も住まいの悩みも少しずつ重くなっていくもの。次回は、家計調査や教育費の公的データをもとに、リフォームするか、住み替えるか、それとも今の家に手を入れながら住み続けるか――家族に合った判断の考え方を整理します。

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