#3-005 暑さを我慢するほど損? 電気代が気になる夏こそ見直したい「断熱・遮熱・空調」の順番

「冷房をつけても、なんだか家の中が暑い」「電気代が気になって、設定温度を下げきれない」。そんな夏の悩みを抱える家庭は少なくありません。特に30代〜40代の共働き世帯や子育て世帯では、快適さと家計のバランスに迷いやすいものです。そこで今回は、公的データを手がかりに、夏の住まい対策を断熱・遮熱・空調の順番で考えてみます。
電気代の悩みは、もう一部の家庭だけの話ではない
総務省「家計調査」によると、2025年の二人以上の世帯の消費支出は月平均31万4,001円、そのうち「光熱・水道」は2万4,547円で、前年より名目6.2%増でした。ブランドの視点で見ると、夏の住まい対策は「節約」だけでなく、家族が無理なく暮らせる安心づくりでもあります。電気代が上がる中で、冷房を我慢する方向に振れすぎると、家計だけでなく暮らしの質まで削ってしまいかねません。
“暑い家”は、エアコンの前に窓から見直す
夕方、保育園や学校から帰った子どもが「まだ暑い」と言い、リビングの冷房がなかなか効かない。そんな場面は、設備の問題というより、家に熱が入り続けているサインかもしれません。資源エネルギー庁によると、夏の冷房時に室外から入る熱の約7割は窓などの開口部からです。さらに、ブラインドなどは窓の外側に付けるほうが内側より3倍近く効果的とされています。生活者目線で言えば、「まずエアコンを強くする」の前に、「熱を入れにくくする」が先、ということです。
断熱の差が、夏の快適さにも響いている
国土交通省の資料では、現行相当の断熱性能(H11年基準)を満たす住宅はストック全体の約18%にとどまり、無断熱等は24%とされています。つまり、今ある住宅の多くは、夏の熱の入りにくさという面でも十分とは言えません。観察の視点で見ると、家族は「エアコンが古いから暑い」と考えがちですが、実際には窓や外皮の性能が影響していることも多いのです。冷房の効きを上げたいなら、空調だけでなく、住まい側の受け止め方にも目を向けたいところです。
<参照> 一建設の住宅の断熱性能 ※建築年によって異なる場合があります。
優先順位は「遮熱→断熱→空調」で考える
では、何から始めればいいのでしょうか。おすすめは、①窓まわりの遮熱、②断熱の弱い部分の見直し、③空調の使い方の最適化の順番です。まずはカーテンや外付け日よけ、すだれなどで日射を遮る。次に、窓性能や断熱の弱い箇所を点検する。そのうえで、エアコンの設定温度や風向き、使う部屋の絞り込みを整える。この順番なら、大がかりな工事の前でも始めやすく、家計と快適さの両立を考えやすくなります。なお、消防庁によると2025年5〜9月の熱中症による救急搬送は10万510人、そのうち住居が3万8,292人(38.1%)で最多でした。エスノグラフィー(行動観察調査)の視点では、「少し暑いけど我慢」が積み重なる家庭ほど、対策が遅れやすいのかもしれません。
★ご注意ください★
※本稿で引用した「光熱・水道」2万4,547円は、総務省「家計調査」における二人以上の世帯平均です。世帯主の平均年齢は高めで、全国平均値でもあるため、30代〜40代の戸建て子育て世帯の実感とは差が出る場合があります。自宅の状況に置き換えて読む際の目安としてご覧ください。
※資源エネルギー庁の「夏の熱の約7割が窓などの開口部から入る」という説明は、住宅の一般的な熱の出入りを示したものです。建物の向き、窓の大きさ、周辺環境、住まい方によって実際の体感差は変わります。本稿では「窓対策を優先して考える根拠」として使用しています。
※消防庁の熱中症搬送データは、全国・全年齢の救急搬送状況を示す統計です。戸建て住宅だけの発生率ではありませんが、「住居内での暑さ対策も重要である」ことを示す参考情報として引用しています。
<引用元>
・総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要」
・資源エネルギー庁「省エネ住宅|家庭向け省エネ関連情報」
・国土交通省「住宅ストックの質(バリアフリー化と省エネルギー化)」
・消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」
次回予告
次回は、戸建てで暮らす家族が考えておきたい「防災の優先順位」がテーマです。
暑さ対策と同じように、住まいの備えも「なんとなく不安」なままでは動きにくいものです。地震、水害、火災――気になるリスクは多いからこそ、次回は防災白書などの公的データをもとに、わが家では何から備えるべきかを整理します。家族を守るための備えを、感覚ではなく、数字と実態から考えていきます。