家は「買ったら安心」から「育てないと残らない」へ——空き家900万戸時代、わが家の年間メンテナンス計画
平日の夜、子どもを寝かしつけて一息ついたタイミングで、「そういえば雨どい、最近見てないね」「外壁って点検いるのかな?」なんて会話が出る。やる気がないわけじゃなくて、ただ毎日が忙しい。だから住まいのことは“何か起きてから”になりがちです。
でもこの「後回し」は、いま社会全体で起きている大きな変化とつながっています。国土交通省が整理した資料(総務省「住宅・土地統計調査」ベース)では、住宅ストック約6,505万戸に対して総世帯約5,622万世帯。数としては足りているのに、居住者のいない住宅は938万戸、そのうち空き家が900万戸(空き家率13.8%)と示されています。
家は“ある”のに、“使い続けられない”家が増えている——これが今のトレンドであり、社会問題となっています。皆さんもニュースなどで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ここで一度、わが家に置き換えてみます。空き家問題は「実家」や「地方」の話に聞こえがちですが、本質はもっと身近で、「手入れが追いつかないと、住まいは資産から離脱する」ということ。共働き・子育て世帯ほど、住まいの管理が“気力勝負”になりやすい分、先送りが連鎖しやすい。だからこそ必要なのは、気合ではなく仕組みです。
さらに社会全体では、住まいの“年齢”も進んでいます。築年代別のストックでは、1970年以前が3,631千戸、1971〜1980年が6,890千戸で、1980年以前だけで計10,521千戸にのぼります。
「直す家が増える」ということは、裏を返せば、点検や工事も混みやすくなるということ。いざ困ってから動くと、費用だけでなく“順番待ち”のストレスも増えやすい。わが家が取るべき戦略は、社会の流れと逆で、小さく・早く・計画的にです。
もう一つの大きな潮流が、「暮らしやすさ=性能」の再評価です。国土交通省が公表している資料では、高齢者が居住する住宅における一定のバリアフリー化は45%、断熱性能がH11年基準相当を満たす住宅はストック全体の約18%にとどまる推計とされています。
いまは元気でも、親のこと、在宅時間の変化、子どもの成長を考えると、住まいは“長く使うほど課題が出る道具”。見た目より、性能をどう整えるかが、将来の安心と家計を左右します。
では、忙しい私たちは何から始めればいいのか。おすすめは「毎月第1金曜に10分」だけ確保して、ご家族で“今月はどこを見る?”を1つ決めて記録することです。 春は外回り、梅雨前は雨仕舞い、夏は冷房効率……などと季節で固定すると、迷いが減って続きます。
『住まいの明日を整えよう ~一建設のライフサイクルサポート~』は、まさにこの「判断と行動の型」を増やすための拠点。 家は建てて終わりではなく、暮らしと一緒に整えていく“未来の資産”です。社会の数字を、わが家の予定に翻訳するところから始めてみませんか。